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故郷を考える – 中編(2022.8月号より)

前回は、昭和51年の山田太一ドラマ「夏の故郷」から、地方の衰退や人口減少問題は、ずいぶん昔からあったのだと改めて認識し、その上で「ここには働く場所がない」という声を下田市でもよく聞くというところまででした。今回はその続編です。

さて、ここで言われている「働く場所」とはいったい何でしょう?今回はそこを掘り下げてみたいと思います。というのも実は、下田市は県内でトップレベルの高い有効求人倍率を維持しているからです。ですから、「働く場所」うんぬんは、単なる求人の多寡(多い少ない)ではなく、若い人にとって「つきたい」と思う仕事であり、具体的なイメージとしたら、ステキな高層ビルのIT企業、みたいなものであって、彼らの言い方を借りれば、おしゃれで知的で高給な職場ということになると思います。

地元の高校を出たら都会に行って、専門学校や大学に進み、やがてカッコいい仕事について都会風な暮らしを送る。それが典型的な成功モデルとして、若者たちはもちろん、私たち大人(親世代)にも共有されているとしたら、地方には残念な未来しか描けないのではないでしょうか。

大人たちが、「このまちは、(自分たちの仕事を含め、魅力的な)仕事がない」と考えることは、一方で豊かな自然とか多様な価値とか言って移住政策を進めながら実は、自分たちの地方の仕事を、さらには故郷のまちそのものを軽んじることになるのではないでしょうか?

念のために申し上げますが、私はここで、このまちの若者たちに、「とにかく都会から戻ってきてくれ」と言っているのではありません。無論、自らの意思で故郷に戻る若者は大歓迎です。

しかし、・・・(すいません。また長くなってしまいました。結論は来月号で)

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